キャリアアップ助成金〈正社員化コース〉
キャリアアップ助成金〈正社員化コース〉

キャリアアップ助成金〈正社員化コース〉とは


2023年12月1日更新

非正規雇用労働者の不安定な雇用形態の影響が、成婚率の低下や少子化など、社会の様々な場面にまで問題が波及しています。

そこで、安定的な正社員への転換を積極的に進めてほしいとの政策的意図により、導入されているのがキャリアアップ助成金〈正社員化コース〉です。有期から正規への転換だけでなく、無期から正規への転換にも助成金の支給があります。

  1. 有期→正規 1人あたり最大80万円
  2. 無期→正規 1人あたり最大40万円

※ 1事業所当たり年間20名まで受給可能です。
※ 正規には「多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)」を含みます。
※ 新たに正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換又は直接雇用した場合には助成額が20万円加算されます。(1事業所1回のみ)
※ 勤務地・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換又は直接雇用した場合には助成額が40万円加算されます。(1事業所1回のみ)
※ 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合には1人あたり28.5万円加算されます
※ 母子家庭の母、父子家庭の父を転換等した場合には助成額が最大9.5万円加算されます。
※ 上記のほか、有期実習型訓練を修了した者を正規雇用労働者等として転換または直接雇用した場合には助成額が最大9.5万円加算されます。またそのうち自発的職業能力開発訓練、又は定額制の訓練終了後に正社員化した場合は最大11万円加算されます。



オススメ理由


日本人の労働人口が減少の一途をたどる今、中小企業にとって優秀な人材の確保は大きな課題だといえます。従業員の正社員化を促進することで、安心して働ける環境を整えることができます。

一方で、有期契約社員を正社員に転換すると、原則、定年まで雇用する義務が発生するため、当然転換をためらう経営者の方も多いかと思います。

しかし、労働契約法の改正により、2018年4月1日以降に勤続年数が5年以上に到達するパートや有期契約社員は、本人が希望するだけで「無期契約社員」の権利を取得できるようになりました。

キャリアアップ助成金を利用するかどうかはさておき、従業員の無期雇用の義務化はすでに始まっています。

優秀な従業員はキャリアアップ助成金を活用しながら正社員にしていき、逆に、どう教育しても戦力にならない問題社員については、円満退社してもらう等の手を、早々に打つ必要があります。

申請時のポイント


注意点

@有期→正規へ転換時の注意点

有期から正規に転換する際は、3%以上昇給させることが受給要件の一つとなっています。

原則、基本給を昇給させることが望ましいですが、要件を満たせば職務手当や役職手当などで昇給しても対象となります。なお2022年10月1日以降、正社員に転換等を実施する場合は、賞与又は退職金の適用を受けることや、原則昇給が行われることが要件に加わりました。

その他、就業規則上で非正規と正社員の違いがあるか、転換時に定年年齢まで1年以上あるか、など細かい要件がたくさんあるため見落とさないよう細心の注意が必要です。

特に就業規則については、形式的に整備されているだけでなく、労務の実態と合致していないと、思わぬ理由で不支給となりえますので、専門家である社労士に整備を依頼することをお勧めいたします。

A提出書類が多い

特に大変なのが最大1年6か月分の賃金台帳や出勤簿、雇用契約書、就業規則などの提出を求められることです。

給与計算が間違っている、残業代が支払われていない、労働条件が法律の基準に達していないなどの理由で、受給ができないケースが多いのも特徴です。

申請する前に隅々まで細かくチェックしましょう。

B賃金、退職金、労働条件への影響

キャリアアップ助成金〈正社員化コース〉を申請するには、就業規則に正社員への転換規程を設ける必要があります。

しかしそれだけでなく、転換後の賃金や退職金、その他労働条件がどう変化するのかを、就業規則や賃金規定、退職金規定の細部まで確認しておく必要があります。

どうにか助成金は受給できたものの、労働条件について後になってから従業員とトラブルになるというケースも多くみられます。

正社員等に転換した後の影響は、定年まで続いていくことなので、慎重に進めていきましょう。


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