人事労務ニュース
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文書作成日:2018/08/14

天災地変により従業員を休業させる場合の休業手当の取扱い

 今年は地震や豪雨などの災害が頻発していますが、こうした天災地変により会社を休業せざるを得ないケースがあります。このような天災地変により事業を休業するときには、休業手当の取扱いが問題になります。今回は休業手当の基本的な考え方と天災地変の場合の取扱いについて確認しましょう。

1.休業手当とは
 そもそも労働基準法において、使用者の責に帰すべき事由、つまり会社の責任で従業員を休業させる場合、休業手当を支払う義務が課されています。これは、会社の一方的な休業によって従業員の生活が脅かされることを防止することを目的とし、会社は平均賃金の100分の60以上で計算した額を支払う必要があります。
 この使用者の責に帰すべき事由とは、会社の故意・過失による場合はもちろん、資金難や原材料不足による経営上の障害による場合も含まれています。

2.天災地変の場合の取扱い
 1.のとおり、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合は、休業手当の支払いが必要となりますが、地震や台風などの天災地変については不可抗力によるもので会社の責任で休業させたものではないため、休業手当の支払いは必要ありません。ここでいう不可抗力とは、東日本大震災や今回の平成30年7月豪雨などで示されたQ&Aによると、以下の2つの要件を満たすものでなければならないと解釈されています。

(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること
(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

 そのときに問題になるケースとして、取引先が天災地変により被害を受け、会社が原材料の仕入れや製品の納入などが不可能となったことにより、従業員を休業させる場合の取り扱いがあります。このケースについては、会社が直接的な被害を受けていない場合、原則として使用者の責に帰すべき事由に該当するとされ、会社は休業手当の支払いが必要になります。ただし、このケースであっても上記の2つの要件を満たす場合には、会社の責任による休業に該当しないとされています。具体的には、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力などを総合的に勘案し、判断する必要があるとの考え方が示されています。会社としてはこれらの状況を踏まえて、休業手当の支払いが必要か否かを個別で判断することになります。

 また、会社が休業手当を支払った場合に、それを支援する制度として雇用調整助成金が設けられています。支給要件として、直近3ヶ月の生産量、売上高などの生産指標が前年同期と比べ10%以上減少していることなどの要件がありますが、状況によっては特例が設けられ支給要件が緩和されることがあります。そのため、最新情報を最寄りの労働局またはハローワークへ確認しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「平成30年7月豪雨について」


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。