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作成日:2017/12/01
セルフキャリアドック制度を有効活用するには



◆セルフキャリアドック制度とは




平成28年度に引き続き、29年度も目玉の助成金と言われている一つにセルフキャリアドック制度というものがあります。

これは、従業員にジョブカードを利用したキャリアコンサルティングを定期的に実施し、キャリア開発を行うことを目的としています。

政府はこのセルフキャリアドック制度を推進する為に、中小企業を対象に47.5万円(生産性要件を満たす場合は72万円)の助成をしています。

社労士という仕事上、中小企業の経営者の方々にセルフキャリアドック制度の説明をする機会が多くあります。すると、「従業員のキャリア開発なんかしたら、みんな独立したり別の会社に行っちゃうじゃない!うちみたいな小さい会社には向かないよ!」とおっしゃる特に50歳以上の経営者の方々が非常に多くいらっしゃいます。

でもこれ本当にそうでしょうか。

日本の終身雇用制度が崩壊して、先が見えない時代になりました。それでも生活するためには、少なくとも65歳で年金がもらえるまでは、何とかして働き続けなくてはいけません。

少なからず誰もが自分の成長やキャリアについて考えているでしょう。私を含めバブル崩壊後に就職活動をした45歳以下の世代は、特にその思いが強いと思います。

だからと言って、大多数の方が転職を望んでいるわけではありません。出来れば少しでも長く今の会社で働きたいと望んでいるはずです。

日本生産性本部の調査でも、近年の新卒世代は能力、成果主義より、年功序列主義を望む傾向が高まってきているという結果が出ています。(日本生産性本部「2015年度 新入社員 春の意識調査」より)


政府もセルフキャリアドック制度によって労働者の転職を推進しているわけではありません。

  • 若者・高齢者などの活躍促進
  • 多様な働き方の実現
  • グローバル社会に対応するための人材力強化

を主な目的としているのです。


◆どんな従業員に効果的か


キャリアセルフドック制度は、ジョブカードを使って、まず従業員のキャリア意識を確認する作業から始まります。

キャリアについて意識の高い人は、今の仕事が自分の成長にどう関係しているのかをしっかり把握しています。定年年齢から逆算で考え、言われなくても自分のスキル向上や資格取得などに励んでいます。

一方で、キャリアについて考えようとはしているが、具体的にどうしていいかわからないという方も多くいらっしゃいます。セルフキャリアドック制度はまさにこういう方に適した制度だと思います。
キャリア研究の第一人者スーパーによると、キャリアは、環境が変わる度にリセットされるというものではなく、「生涯においてある個人が果たす一連の役割」と定義されています。

つまり、キャリアは現在の延長線に連なっているものなので、目の前の仕事に注力することがキャリア開発の第一歩につながるのです。決してキャリア開発=転職の推進や、権利意識の助長ではないのです。

◆小さい会社はキャリア開発に向かないのか


小さい会社は幅広いキャリアを積むには恵まれていると思います。経営トップとの距離が近く、一人一人の影響力が大きく、色んなことに対応しなくてはいけないからです

私は社労士事務所を開く前に、1000人規模の大手2社、社員20人以下のベンチャー企業を2社と、規模の全く違う会社を経験しました。

大手は、役割が明確で狭い範囲の仕事を専門家になるまで追及して仕事をします。一方ベンチャーは役割を明確に決めてしまうと会社が回らなくなるので、色んなことに対応できるような柔軟性と幅広い視野が必要になります。

どちらの働き方が正しいかという正解はないですが、大手企業だと分業化が進んでおり狭い範囲の仕事しかできないため、当時私の周囲では、好成績を残しているにもかかわらず、「自分のスキルは他の会社で通用するんだろうか」と不安を抱えながら働いている人がとても多くいました。
だから会社もジョブローテーションなどを積極的に行い、その不安やマンネリを打破させているのでしょう。

一方小さい会社は、会社自体が無くなったり、雇用調整を行うリスクが高いので、従業員は「会社の存続」に不安を感じている傾向が強いと思います。
ですが、小さい会社は転職で入社する人が多いので、さらなる転職に抵抗が少なく、会社への依存や執着心がそもそも弱い傾向にあるともいえるでしょう。

そうなると小さい会社のキャリア教育の意義は、

  • 会社が個人のキャリアを応援している姿勢を見せ、社員に感謝してもらうこと
  • その結果、会社への帰属意識を高め定着率をあげること
  • 従業員のスキルアップや職務拡大を図ること
  • その結果、万が一の退職に対してのリスク対策になること
  • 人材募集時にキャリア支援体制をアピールし採用力を高めること

だと思います。


もちろん会社ですので、従業員の都合ばかり聴いてられないですが、キャリア支援をするという前向きな姿勢があるだけでも、効果はあると思います。
もし制度の導入を検討されているのであれば、助成金の予算が無くなる前に試してみることをオススメしています。



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